技術レポートタイトル

2005.9.30号
 排水管更新工事では、配管スペースや施工の難易度などにより、やむを得ずオフセットや曲がりを設けなければならないケースもあります。築26年を経過した低層集合住宅の排水立て管更新工事に際し、制約を受ける更新後の配管を実験タワーで再現し、その排水性能について検証しましたので、その結果の一部を報告します。

配管の制約条件

1) 図1(1)に示すように既設排水横主管は、1階部分の土中に埋設されており、かつ排水ますへの接続配管径は100A である。更新後も既設排水横主管の一部を利用するため、排水ますへの接続は100A のままである。
2) 既設排水立て管は最下階の専用部PS 内を貫通し、1)の排水横主管に接続されているため、更新時には1階天井部で図1(2)のようにオフセット配管とし既設排水横主管に接続する。その納まりは図1(2)中に示した通りである。
3) 既設排水立て管は、汚水が100A、雑排水系統が80Aの分流式で、更新後は図2のようにスラブ上面で2系統の排水は特殊継手へ接続する合流式とする。

(1)更新前

(2)更新後

図2
図1 排水立て管システム

実験配管

現場配管を元に実験タワーに配管し、排水性能実験を行う。
更新前 更新後
実験排水立て管システム

測定結果(清水負荷実験)

衛生器具 形式 記号 備考 器具排水量
W[L]
排水所要時間
T[s]
排水時間
td[s]
瞬時最大排水
流量qmax[L/s]
器具平均排水
流量qd[L/s]
大便器 サイホン式P型 WC 洗い落とし式 8.3 81.9 4.7 1.34 1.06
台所流し S社製GFK-S-75 S30 溜め排水 32.0 69.0 23.0 0.83 1.05
洗濯機 代用洗濯機 WM 溜め排水 40.0 127.0 58.3 0.43 0.56
供試衛生器具表


 図3に、更新前の配管(横主管:ストレート配管)にWM+S30 の排水を与えた場合と更新後の配管(横主管:オフセット配管)に、それにWC の負荷を加えた場合の管内圧力分布を示す。更新前の4 階からの1 箇所排水で判定基準値である-400[Pa]に近い負圧が発生し、4、3 階の2箇所排水で判定基準値を超えた-603[Pa]の負圧が発生した。しかし、更新後の1 箇所排水では、判定基準値内におさまり、4、3 階からの2 箇所排水でも、判定基準値内におさまった。また、2 階に設置したトラップの封水損失は図4 に示すように、更新前配管で約30[mm]の損失値であったが、更新後は損失値0[mm]であった。
排水負荷 配管パターン Psmin Psmax
4F-WM+S30+WC 更新後配管
4F-WM+S30+WC
3F-WM+S30+WC
4F-WM+S30 更新前配管
4F-WM+S30
3F-WM+S30

図3 圧力波形比較図


図4 封水損失
謝辞
本研究にあたり、三井住友建設鞄穴ヨ東支店、他関係者の皆様にご協力をいただきましたことを、心より感謝申し上げます。

参考文献
小島誠造・大塚雅之・青井健史・繁田和拡
ストック住宅の排水配管システムの更新工法に関する研究
(その1.排水管の劣化と更新用継手の施工性能)
空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集:2005.8.9〜11(札幌)

関連リンク

排水立て管のスケール・スライム付着厚さ 事例報告−その2は、こちら
排水立て管更新工事 事例報告−その1は、こちら
DSTseries とりかえ〜なの排水性能は、こちら
更新用単管式排水継手 とりかえ〜は、こちら
雑排水系統の 排水管更新には、こちら
改修現場レポート パート2は、こちら
改修現場レポート パート1は、こちら

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