技術レポートタイトル

2004.3.31号
 床スラブ貫通部からの振動伝達に関しては、2003年9月15日号で埋め戻し方法による違いについて、また2003年9月30日号では、貫通部から測定点までの距離による違いについて報告いたしました。今回は受口付耐火二層管と新開発の排水用特殊継手DST-Sとを組み合わせ「スラブ上面接合」で施工した場合の床スラブの振動加速度レベルを測定しましたので、その結果の一部を報告します。

実験配管

 RC造3階建ての躯体と一体構造となっている社屋ベランダを貫通して配管した、当社実験タワーを用いた。スラブ厚は200mmで対象スラブ貫通部以外からの振動伝達を無くすために、排水立て管の固定部分には防振ゴムを挿入し、実験タワーと排水立て管の振動絶縁を施した。

供試継手 CP60K 100×80-65(L),DST220-S 100×80/0-65-0-0
排水立て管 管径 100A
立て管種 受け口付き耐火二層管
排水横主管径 125A(LJ-K100×125)
横主管形態 ストレート 5m
排水負荷 定流量 2.0[l/s],4.0[l/s],6.0[l/s]
試験方法 SHASE-S 218 「集合住宅の排水立て管システムの排水能力試験法」に準拠


排水実験タワー
直接埋め込み型 スラブ上面接合型 受け口付き
耐火二層管
断面図


スラブ上の測定点

振動実験結果

[m/s2]
排水用
特殊継手
負荷
[L/s]
測定点
直接埋め込み型 2.0 0.038 0.042 0.029 0.068 0.071 0.069
4.0 0.052 0.058 0.041 0.096 0.101 0.098
6.0 0.061 0.068 0.050 0.113 0.121 0.117
耐火二層管

スラブ上面
接合型
2.0 0.016 0.013 0.020 0.017 0.022 0.018
4.0 0.022 0.023 0.025 0.021 0.028 0.022
6.0 0.025 0.025 0.029 0.025 0.032 0.026
振動測定結果
 特殊継手排水システムでは、継手胴部が床スラブを貫通し、直接モルタルで埋め戻す施工が一般的でした。そのため排水流下時の振動が床スラブに伝達し、排水騒音発生原因の一つとなっていました。受口付耐火二層管とDST-Sを組み合わせて「スラブ上面接合」で施工することにより、排水用特殊継手が直接床スラブに接触しないため、図−1に示すとおり振動加速度レベルは大幅に低減されます。

*1. 汚水、雑排水をそれぞれ単独の排水立て管とする場合は、KST-Sを使用してスラブ上面接合ができます。
*2. 汚水と雑排水が合流する排水立て管の場合は、DST-Sを使用してスラブ上面接合ができます。ただし、この場合に使用できる便器は床上排水型(P型便器)に限定されます。

図−1
●引用文献
小島誠造・宮脇琢磨・河村憲彦・馬場敦
排水立て管更新用特殊継手排水システムに関する実験研究
空気調和・衛生工学会中部支部 学術研究発表会論文集 第5号 2004年3月
関連リンク      
貫通部の埋め戻し方法! 床スラブ貫通部からの振動伝達は、こちら
貫通部からの距離による違い・排水流量による違い床スラブ貫通部からの振動伝達 その2は、こちら
脚部継手 吊り下げ施工治具 LEJ 防振タイプに設計変更は、こちら
スラブ上面接合における 耐震性能 KST−Sタイプは、こちら
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