2006.10.15号
集合住宅の排水システムでは、複数の排水立て管系統が、大口径の排水横主管(二次排水横主管)に接続されています。このような配管形態では、合流のない時は圧力変動も小さいですが、二次排水横主管での合流により、過度の正圧が生じ、下層階トラップの封水が跳ね出す危険があります。3系統のHQ排水立て管系統を二次排水横主管で合流させた実験を行いましたので、その結果の一部を報告します。
実験概要
供試排水立て管システムは、排水立て管T、U、Vの3系統あり、実験は排水立て管Tからの排水負荷に対し順次、排水立て管U、Vの合流排水を加えます。供試継手は、立て管径100AのJIS−DT継手とHQ60K100×80としました。
各系統から表1,2に示すパターンの流量を負荷しました。1次排水横主管は125A(1/150)、2次排水横主管は150A(1/150)としました。測定項目は排水立て管Tの管内圧力変動です。
表1 2系統合流排水
排水負荷流量
[l/s]排水立て管T 1.0 1.5 2.0 2.5 排水立て管U 1.0 1.5 2.0 2.5 2系統合流排水(T+U)
合計流量 [l/s]2.0 3.0 4.0 5.0 表2 3系統合流排水
排水負荷流量
[l/s]排水立て管T 1.0 1.5 2.0 2.5 排水立て管U 1.0 1.5 2.0 2.5 排水立て管V 1.0 1.5 2.0 2.5 3系統合流排水(T+U+V)
合計流量 [l/s]3.0 4.5 6.0 7.5
図1
実験結果
排水立て管TのPsmax(システム最大値)とQw合計流量との関係は、図2の通りです。
図2−(1) 2系統合流排水
図2−(2) 3系統合流排水
1) Qw が2系統合流排水では4.0[L/s] 以上、3系統合流排水では6.0[L/s]以上になるとJIS-DT 継手に比べ、HQジョイントの方がPsmax は低く抑えられ、その傾向はQw が大きくなるほど顕著である。 2) 排水横主管での許容流量を+400[Pa]を判定基準とすると、2系統合流排水時でJIS-DT 継手が3.7[L/s]となるのに対し、HQジョイントでは4.2[L/s]となり、3系統合流排水の場合はJIS-DT 継手で5.7[L/s]となるのに対し、HQジョイントでは6.5[L/s]となる。
●参考文献
大塚雅之・鈴木孝彦・小島誠造
排水立て管システムの排水能力への影響予測に関する研究
その3 特殊継手排水システムの横主管での合流影響
日本建築学会大会学術講演梗概集 2006年9月
鈴木 一聡・鈴木孝彦・大塚雅之・小島誠造
排水横主管における合流性能評価に関する研究
その3 特殊継手排水システムの横主管での合流影響
空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集 2006年9月
HQ排水システムの横主管での合流影響 (その1)下層階正圧と通気流量の傾向は、こちら
排水横主管の合流部の流れ(その2) / 鉛直上方合流は、こちら
排水横主管の合流部の流れ (その1)は、こちら