技術レポートタイトル

2006.9.30号

集合住宅の排水システムでは、複数の排水立て管系統が、大口径の排水横主管(二次排水横主管)に接続されています。このような配管形態では、合流のない時は圧力変動も小さいですが、二次排水横主管での合流により、過度の正圧が生じ、下層階トラップの封水が跳ね出す危険があります。3系統のHQ排水立て管系統を二次排水横主管で合流させた実験を行いましたので、その結果の一部を報告します。

実験概要

 供試排水立て管システムは、排水立て管T、U、Vの3系統あり、実験は排水立て管Tからの排水負荷に対し順次、排水立て管U、Vの合流排水を加えます。供試継手は、立て管径100AのJIS−DT継手とHQ60K100×80としました。
 各系統から表1に示すパターンの流量を負荷しました。1次排水横主管は125A(1/150)、2次排水横主管は150A(1/150)としました。測定項目は排水立て管Tの各階管内圧力変動、伸頂通気管内風速変動、および排水横主管5の水位変動としました。
排水負荷流量
[l/s]
排水立て管T 2.5
排水立て管U 2.5
排水立て管V 2.5
3系統合流排水(T+U+V)
合計流量 [l/s]
7.5
表1 排水負荷パターン

図1

実験結果

 JIS−DT継手、HQ60K100×80のそれぞれ排水システムの排水立て管T、U、Vから、各2.5 [l / s]づつ負荷した時の、排水立て管[T]の通気流量、排水立て管[T]の1階の管内圧力変動、2次排水横主管H5点の水位変動を図2に示します。

図2 JIS-DT継手とHQジョイントの波形比較

1)通気流量はHQジョイントの減速効果により、JIS−DTに比べ
約25%低減しています。

2) 管内圧力変動は管内圧力平均値Paveで約53%低減しています。
3) 二次横主管5の水位は、大きな差は見られない。

HQ排水システムは負圧の緩和効果のみでなく、排水横主管での合流に対しても、正圧を緩和させる効果があることが確認できました。

●参考文献
大塚雅之・鈴木孝彦・小島誠造
排水立て管システムの排水能力への影響予測に関する研究
 その3 特殊継手排水システムの横主管での合流影響
日本建築学会大会学術講演梗概集 2006年9月

鈴木 一聡・鈴木孝彦・大塚雅之・小島誠造
排水横主管における合流性能評価に関する研究
 その3 特殊継手排水システムの横主管での合流影響
空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集 2006年9月
関連リンク      
排水横主管の合流部の流れ(その2) / 鉛直上方合流は、こちら
排水横主管の合流部の流れ (その1)は、こちら

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