技術レポートタイトル

2003.11.30号
 前号(2003年11月15日号)では正圧矩形パルスを印加した場合に、トラップ封水にどのような影響がでるかについて報告しましたが、器具排水が負荷される実際の排水通気システムにおいては、周波数の低い波と高い波が合成された複雑な変動空気圧力が計測されます。排水横主管のこう配が適正に確保されている系統で発生する空気圧力波形と、逆こう配となっている系統で発生する空気圧力波形の違い、およびそれぞれの場合のトラップ封水への影響について実験を行いましたので、その一部を報告します。

排水実験タワー

 当社の排水実験タワーを用い、9F:2.5[l/s]、8F:2.5[l/s]、7F:1.5[l/s]の合計:6.5[l/s]の定流量負荷を与えた。
 横主管のこう配を可変させ、順こう配:1/100の場合と、逆こう配:△1/100の場合の、1階横枝管の管内空気圧力および1階に取り付けたSトラップの水位変動を測定する。

実験結果


(a)順こう配時の空気圧力変動


(b)順こう配時の封水水位変動

(c)逆こう配時の空気圧力変動


(d)逆こう配時の封水水位変動
1) (a)は順こう配時の空気圧力変動であり、比較的周波数の高い(約10Hz)正圧波形となっている。
2) (b)は(a)の空気圧力が加わった時の1階Sトラップの水位変動。
3) (c)は逆こう配時の空気圧力変動。逆こう配になると管中の水が間欠的に息つぎ現象を起こして、低周波の大きな正圧が発生する。
4) (d)は(c)の空気圧力が加わった時の1階Sトラップの水位変動。低周波の大きな正圧の影響により、トラップ封水面の上下振幅が極めて大きくなっている。この場合は気泡がディップを通過した。
5) トラップ封水は、固有振動数約1.5Hzよりも高い周波数の空気圧力には比較的強いが、低い周波数には弱く危険であるといえる。
●引用文献
松平秀雄・堀一仁・河村憲彦・小島誠造
排水横主管中の流れに関する研究 第1報
空気調和・衛生工学会近畿支部 学術研究発表会論文集 1994年3月22日
関連リンク      
矩形パルスの時間幅が与える影響!トラップの封水挙動(1)は、こちら
原理原則の確認!水封式トラップの機能と弱点は、こちら
ご注意! トラップの封水強度は、こちら
封水強度 管内圧力と封水損失は、こちら

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