技術レポートタイトル

2003.11.15号
 器具からの排水が開始されると排水管内の空気圧力が変動し、排水が行われている間は、排水していない他の器具のトラップ封水も振動を繰り返していることは前号(2003年10月31日号)で報告した通りであります。洗面器などに使用されているSトラップを使用して、トラップの流出脚側に印加時間幅と印加圧力の異なる正圧矩形パルスを印加した場合に、トラップ封水にどのような影響がでるか実験を行いましたので、その一部を報告します。 

実験装置

 あらかじめ加圧ポンプを用いてタンク内に所要の大きさの正圧空気を貯え、配管途中に設けた2個の弁により種々の時間幅の正圧を管内に発生させることができます。また、圧力センサーにより管内の圧力変動を計測し、AD変換して記録します。

実験結果


(a)正圧パルス
(パルスの幅0.1秒、高さ1.5k pa

(b)封水水位変動波形

(c)正圧パルス
(パルスの幅0.5秒、高さ1.35k pa

(d)封水水位変動波形
1) (a)は正圧矩形パルス(時間幅0.1秒、高さ1.5k pa)をSトラップに与えた時の圧力波形であり、この時には、封水内に気泡の通過や吹き出し現象は見られなかった。
2) (c)は正圧矩形パルス(時間幅0.5秒、高さ1.35k pa)をSトラップに与えた時の圧力波形であり、この時には、封水の吹き出しが確認された。
3) 印加時間幅が短い圧力の場合は圧力値が大きくても封水に与える影響は小さい。
4) 印加時間幅が長くなると小さい圧力値でも封水に与える影響は大きい。
5) (b)と(d)はそれぞれ時間幅0.1、と時間幅0.5秒の圧力波形に対する封水水位変動波形であるが、(d)の方が(b)に比べ、入力された圧力値が小さいにもかかわらず、水位変動が大きいことがわかる。
6) 以上の結果より、排水トラップに印加される圧力については、圧力値の大きさだけでなく、その圧力の印加時間幅も考慮に入れる必要がある。
●引用文献
松平秀雄・堀一仁・河村憲彦・小島誠造
排水横主管中の流れに関する研究 第1報
空気調和・衛生工学会近畿支部 学術研究発表会論文集 1994年3月22日
関連リンク      
原理原則の確認!水封式トラップの機能と弱点は、こちら
ご注意! トラップの封水強度は、こちら
封水強度 管内圧力と封水損失は、こちら

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