技術レポートタイトル

2003.5.31号
 封水強度とは排水管内に正圧または負圧が生じた時の、トラップの封水保持能力のことをいいます。使用されるトラップの封水深、脚断面積比*1や封水量などの違いによって、同一の管内圧力変動であっても、封水損失の状況が異なります。従って、HASS218-1999「集合住宅の排水立て管システムの排水能力試験法」では、試験用トラップとして「脚断面積比が0.8〜1.2のトラップ」と規定しています。
 さて、最近の浴室ユニットにはバリアフリーを実現するため、低床用の合流トラップ*2が採用されていることが多くなりました。これらの合流トラップとHASS218-1999に規定されている試験用トラップの封水強度の相異についての確認実験を行いましたので、その一部を報告します。
*1 脚断面積比:トラップの流入脚の平均断面積に対する流出脚の平均断面積の比をいう。
*2 合流トラップ:トラップの胴部にバスタブの排水を合流させる形状のトラップ

管内圧力と封水損失の関係

●逆ワントラップの場合
供試トラップ形状

図−1
●合流トラップ逆止弁付の場合
供試トラップ形状

図−2
●合流トラップ逆止弁ナシの場合
供試トラップ形状

図−3


●逆ワントラップおよび合流トラップのうち逆止弁を備えたトラップでは、管内圧力と封水損失との間に相関関係があるが、逆止弁がない合流トラップでは、脚断面積比が同じでも(=1.0)、合流部の封水深が25mmしか無いため、図−3に示すように-300Pa付近が限界値であることが判った。-400Pa付近では完全破封となった。
実験風景

引用文献
  河村 憲彦 ・ 坂上 恭助 ・ 小島 誠造 ・ 張 月 ・ 永井 秀典
  集合住宅の排水立て管システムの排水能力に関する−考察
  空気調和・衛生工学会学術講演会講演論文集{2002.9.11〜13(福岡)}
関連リンク      
トラブル配管 伸頂通気管の断面欠損は、こちら
封水強度 管内圧力と封水損失は、こちら

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