技術レポートタイトル

2001.7.15号
 排水は重力の影響を受けて流下とともに流速が増します。流速が速くなればなるほど空気を多量に引き込み、上層階では負圧傾向となります。伸頂通気部(大気)から引き込んだ空気はどこへ逃げるのでしょうか? 当社の排水実験タワーにおいて、伸頂通気部(A地点)と排水横主管中(B地点:排水立て管芯から4500oの位置)に風速計を取り付け、排水横主管径ごとの空気の流れを比較しましたので、その一部を報告します。

実験条件

供試継手 CP60K 100×80-65(L)
立て管径 100A
排水横主管径 125A(LJ-K100×125), 150A(LJ-K100×150)
横主管形態 ストレート 5m
風速計測位置

  A地点:伸頂通気部 (9FのCP上部立て管接続部から1.5m)
  B地点:排水横主管中(排水立て管芯から4.5m)

排水負荷     定流量4.0[l/s] (9F:2.5[l/s]、8F:1.5[l/s])
    定流量6.0[l/s] (9F:2.5[l/s]、8F:2.5[l/s]、7F:1.0[l/s])
試験方法 HASS218「集合住宅の排水立て管システムの排水能力試験法」に準拠

系統図
横主管端詳細図(発泡玉)


空気と水の流れ(動画)
負荷流量4.0[l/s]での空気と水の流れが
動画でご覧いただけます。(約0.7MB)
負荷流量6.0[l/s]での空気と水の流れが
動画でご覧いただけます。(約0.7MB)

ご注意
動画をご覧になる際、データのダウンロードが完全でないと、止まって見えることがありますので、ダウンロードが完了するまでお待ち下さい。

実験結果

横主管径 負荷流量 A地点平均風速 B地点平均風速
125A 4.0[l/s] 2.4[m/s] 2.2[m/s]
6.0[l/s] 2.4[m/s] 2.4[m/s]
150A 4.0[l/s] 2.3[m/s] 1.4[m/s]
6.0[l/s] 2.5[m/s] 1.4[m/s]
・伸頂通気部(A地点)での風速は、負荷流量の増加に影響されることなくほぼ一定の値となっており、CP排水システムが安定した減速流で流下していることがわかります。
・排水横主管中(B地点)での風速は、排水横主管径によって異なり、管径125AではA地点とB地点の風速はほぼ同じでありますが、管径150AではB地点の風速がA地点の風速の約1/2でありました。
・本実験は排水横主管がストレートの場合の結果です。排水横主管に水平曲がりやオフセットがある場合には、空気の逃げ道が閉塞されやすくなり、下層階での吹き上げ事故を誘発します。排水横主管の配管形態や管径には特にご注意ください。
・本実験の結果は当社の継手(CP)の固有の値です。継手の内部構造が異なると通気抵抗が変わりますので、ご注意ください。

排水横主管の曲がりの影響は、こちら
排水横主管の合流部の流れは、こちら

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