2000.9.15号
地球環境保全の点からごみの減量化・リサイクル化は最重要課題であります。この課題の取り組みの一つとして建設省建築研究所では、「ディスポーザによる生ごみリサイクルシステム」の研究が進められており、その成果はシンポジウム、学術講演会等で報告されています。当社ではディスポーザにより破砕された「ディスポーザ排水」が排水横枝管、排水立て管、排水横主管の管内を流下する状況を確認するとともに、「KST 80A」を使用した立て管径80Aの特殊継手排水システムの排水性能について検証しました。
参考文献
1.ディスポーザによる生ごみリサイクルシステムの開発
財団法人日本建築センター 1999年9月1日発行
2.空気調和・衛生工学会学術講演会講演論文集2000年9月(盛岡) [発行日 平成12年8月10日]
高層集合住宅のディスポーザ特殊継手排水システムに関する研究
(その1 立て管径80Aシステムでの排水性能)
○河村憲彦((株)小島製作所) 大塚雅之(関東学院大学)
清水康利(東陶機器(株)) 小島誠造((株)小島製作所)
供試継手とディスポーザの仕様
●実験は当社の排水実験タワーを用い、立て管継手には排水用硬質塩化ビニル管継手JIS K 6739の「LT 100」と新コンセプトの単管式排水継手「KST 80」を用いた。
●ディスポーザは生ごみ投入方式がバッチ式の東陶機器(株)製自動給水タイプ(給水量:10.0[l/min]、給水時間:60[秒])を使用し実験を行った。
●手動給水(給水量:8.0[l/min]、給水時間:40[秒])での実験も併せて行った。
●なお、投入した生ゴミは、参考文献1に示されている標準生ごみとした。
新コンセプト「KST」はスラブ伝播音に考慮した【非スラブ貫通型】です。
排水立て管内の流下状況と管内圧力分布
●横主管径と配管形態
管径 | 横主管形態 | |
JIS100Aシステム | 125A | 水平2曲がり 3m×3m×4m |
KST80Aシステム | 100A |
管内圧力 単位[Pa]
|
排水立て管内を流下するディスポーザ排水は、破砕された生ごみと水とが分離し、生ごみが先に落下して行きます。そのため生ごみの一部が立て管内壁に付着し、後から流下してきた水によって洗い流される状況が見られました。
ディスポーザ排水が排水立て管内を流下する状況がご覧いただけます。
排水負荷は自動給水方式ディスポーザ排水(標準生ごみ)×2台
9Fと8Fで負荷し、3Fで撮影 動画(1.1MB)
排水横主管内の流下状況
破砕された生ごみが先に落下してくるので、脚部継手近傍で生ごみが堰状となって堆積し、後からくる水で押し流す状況が見られました。この生ごみの堰を押し流すエネルギーは給水量と給水時間に影響され、また流水深は横主管の管径によって違ってきます。
ディスポーザ排水が排水横主管内を流下する状況がご覧いただけます。
排水負荷は自動給水方式ディスポーザ排水(標準生ごみ)×2台
9Fと8Fで負荷し、脚部継手近傍で撮影 動画(1MB)
排水横主管内の流速は、負荷台数の増加、すなわち給水量の増加にともなって速くなる傾向がありましたが、0.6[m/s]以下のところが多く見られました。
排水横枝管内の流下状況
排水横主管と同様に給水量と給水時間によって、流下状況に差異が見られます。また曲がり部では流速が減じられ、停滞した流れになります。
ディスポーザ排水が排水横枝管内を流下する状況がご覧いただけます。
排水負荷は自動給水方式ディスポーザ排水(標準生ごみ)×1台
3F 排水横枝管50Aの流下状況を撮影 動画(1MB)
ディスポーザ排水とKST
ディスポーザを取り付けた台所流しにおいても、負荷の大きな「ため排水」による使用形態が想定されます。このような場合においても、11階規模(同時使用3台を想定)のディスポーザ単独排水系統に、「KST
80A」を使用した特殊継手排水システムが有効です。