2003.10.31号
香港九龍地区の大規模マンション「アモイガーデン」で起きたSARS集団感染の感染ルートのひとつに排水管が指摘されて以来、世界的に排水通気システムに関心が集まっています。室内と排水管内の空気はトラップ封水のみによって遮断されており、いわば最後の砦です。
透明のトラップを製作し、トラップ封水が破封する様子を実験的に再現しましたので、その一部を動画で報告します。
排水通気系統の目的
排水通気系統の目的は、各器具からの排水を支障なく流下させ、最後の放流点まで導くことです。ここで言う支障なくとは、排水が室内に有害な病原菌や不快な臭気を漏らすことなく、かつ排泄物などを管内に滞留させることなくということです。わが国では建築基準法施行令第129条の2の5で、「・・・・排水トラップ、通気管等を設置する等衛生上必要な措置を講ずること。」を義務付けています。
水封式トラップの機能と弱点
室内と排水管内の空気は、トラップ封水によって遮断されています。排水していない場合には、相互の圧力は同一であるので封水は静止安定しています。しかし、器具からの排水が開始されると、排水管内に水が流れ込み、その水の容積分だけ管内の空気が押しのけられ、その空気は排水の流れによって移動します。そのため、管内の「水」と「空気」が相互に混乱し、排水管内の空気圧力は変動します。そして排水管と直結しているトラップ封水に圧力の変動が伝わり、排水が行われている間は、排水していない他の器具のトラップ封水面もたえず昇降を繰り返しています。さらに大きな圧力変動が生じると正(+)圧の場合には、封水を室内側に吹き上げ、負(−)圧の場合には、封水を排水管側に吸引してしまうため、悪臭の流入防止機能が損なわれ、排水管から室内に悪臭や病原菌が流入することになります。
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2003年10月1日 改正!JCW規格集 第6版は、こちら
ご注意! トラップの封水強度は、こちら
ご注意! 台所流し横枝管の付着率は、こちら
封水強度 管内圧力と封水損失は、こちら
建築設備用排水器材 JCW工業会認定品は、こちら